渋峠、美ヶ原と標高2,000mを越す高地へ行ってきた私ですが一つだけ行き残した場所があります。
それは「乗鞍」。
今回はその乗鞍に4か月全く自転車に乗っていない永遠の初心者T氏と私が挑んできました。
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乗鞍はまさに自転車天国
乗鞍と言えば度々ツイッターなどのSNSにも絶景写真が上がっていますが、Googleで「乗鞍」と検索すれば出てくるは出てくるは絶景写真の数々。
天空のマチュピチュ感がすごいですがそれもそのはず乗鞍岳は標高3,026m、ちなみに我々がよく見る池の畔に赤い屋根のレストハウスがある乗鞍岳の写真は頂上ではなく観光バスなどの終点の「畳平」ですがそれでも標高はなんと2,702mです。美ヶ原の王ヶ頭で2034m、渋峠で2,172mなのでそれらより約ヤビツ峠一個分標高が高いその別格感。まるで雲の上のマチュピチュのようなその景色はサイクリストであれば一度は行って見たいと思うのではないでしょうか。
しかも乗鞍はその標高の高さと自然の深さから多くの高山植物や動物が暮らしており、その動植物の保護や利用者の快適な利用環境を確保するために平成15年からマイカー規制が敷かれています。許可車両とバス、タクシーの他に自転車もOKというのがミソで、ハイシーズンであっても混雑で渋滞する車の脇を永遠と登る事もなく、車やバイクのほとんど来ないストレスフリーなヒルクライムが可能なのです。
渋峠や美ヶ原は爆音を出して飛ばすバイクや車も少なからずいますし、ハイシーズンのお昼前後は基本的には台数は多く、霧ヶ峰なんかはひっきりなしに車が通っています。そのストレスから解放されるだけでも価値があると言えますし、更に車がいないという事は写真に渋滞などが映り込む事もないので綺麗な一本道や見降ろした道路を獲り放題!
更に更に!この乗鞍の「畳平」はなんと自転車が道路を走って来れる日本で一番標高の高い場所でもあるのです。調べれば調べる程、乗鞍って自転車の為にあるの?と言わんばかりの良い事ずくめで驚きます。
実際、ここでは年に一度「マウンテンサイクリングin乗鞍」というロードバイクのヒルクライムの大会が行われていますが、この大会は参加人数も4,500人と富士ヒルに並ぶ、ビッグタイトル、キングオブヒルクライムのレースとなっております。
まさに自転車天国の乗鞍。
焦る気持ちを抑えて当日の詳細を煮詰めていきます。
都内からの行き方
自転車天国の乗鞍ですが一つだけ決定的な欠点があります。それはとても遠く、行きにくい場所にあるという事。
輪行ではおそらく松本からになるのでしょうが、ここから乗鞍までは麓の乗鞍観光センターまでで40kmちょっと、畳平まではそこから更に20km登らなければいけません。しかも観光センターまでの道は普通に交通量が多い市街地もある上、超有名な観光地「上高地」へ行く道にもなっているのでハイシーズンの休日などは大型バスやトラック、一般車によってそれなりの交通量と混雑が予想されます。
そして極めつけはトンネルがたくさんある事。長くて暗いトンネルやトンネル内で左右に分かれてる場所なんかもあってお世辞にも安全に行けるとは言える場所でないのと、観光センターまでもそれなりに登りますので乗鞍の麓に辿り着くころにはゲッソリ…という事になって初心者や登りの苦手な人はトラウマになってしまう可能性大です。
じゃあトランポならどうなのか?というと、車の場合は都内から中央道に乗って松本で降りるのが最短ですが調布から乗ったとして片道250kmくらい離れています。
高速道を200km走った後に下道で山道をウネウネと40km程度走りますので運転に慣れていない方には辛い工程となると思います。そして帰りはほぼ間違いなく中央道名物の渋滞にハマりますので基本的には運転嫌いな人や一人で行く人は泊りで行く場所だと思ってください(;´_ゝ`)
ちなみに今回は日帰りで行ってきましたが仲の良い人何人かで普通に乗鞍を登って帰ってくるだけなら私はそこまで苦ではなかったので人それぞれという事で…。ただ、埼玉や千葉の方や東京でも東側や都心の方はキツイと思います(帰りの渋滞にもガッツリハマりますし…)
今回の出発地点とルート
今回の予定ルートはこんな感じ。観光センターから畳平へ登って帰ってくるだけのルートです。
実は乗鞍、偏に乗鞍と言っても岐阜側から登る「スカイライン」と長野側から登る「エコーライン」があります。そして今回登るのは長野側からのエコーライン。
このエコーラインを登る際にトランポの方がよく利用しているのは「乗鞍観光センター」の駐車場。畳平までの観光バスも出ている場所でトイレや補給、広めの駐車場もあります。ここからゴールの畳平までは約20km、距離は長いですが平均斜度は6.5%なので初心者と言えども去年HINOHARAステージを完走しているT氏なら大丈夫だろうと判断。
「乗鞍ってキツクないの?」
と不安がるT氏ですが「初心者向けらしいから大丈夫!」と伝えます(フラグ)
ちなみにヒルクライムレースの「マウンテンサイクリングin乗鞍」はこちらのエコーラインで開催されるみたいなのでレース前だと試走の人達がたくさんいるので、ちょっとした有名人と出会えるかもしれませんね(*´ω`*)
そして来る当日…
当日編スタート
朝3半時
ピピピ!ピピピ!(目覚まし)
yakiそばパン起床
本日のスケジュールは三鷹駅に5時半集合。
日帰りで乗鞍行くのに5時半三鷹というのは少し遅い気もしますがその通り。道が混むとか帰りが遅くなるとかそういうのもありますが、基本的にああいう標高の高いところの天気は晴れ予報だとしても午後から雲が出てくる事が多く、そういう意味でも本来は3時とか4時に出て7時くらいには登り始める事をオススメします。
ただ、この日はT氏がどうしても前日私の家に泊まる事が出来ないので始発でこっちまで来るしかなく5時半に三鷹駅に集合する事になりました。6時に調布から中央道に乗れたとして、おそらく順調いけて3時間。まぁ、たっぷり寝れるしそれで乗鞍に9時に着ければいいか~。という感じで準備をしていると…
!!!
【悲報】T氏走る前からパンク
yaki「か…かえチューブは!?」
T氏「あるけどやった事ない」
yaki「何々?スローパンク?昨日の夜は空気入ったの?」
T氏「いや、昨日の夜は入れてない。今朝空気いれたらぷしゅーぷしゅー言うやん」
yaki「・・・」
バッカ野郎!!
4か月ぶりにチャリ乗るんだから前日に用意しなきゃだめだろう!遅刻厳禁ていったろう!
と、詰めたい気分ではありますがパンクしてしまったものは仕方ありません。こういう時こそ一分一秒を無駄にせず建設的に考えなければいけません。幸いT氏はロードを2台と奥さんのロードも所持しているのでパンクした後輪は捨て置いて別のロードから後輪をはぎ取ってとりあえずそれで駅まで走って電車に乗ってもらう事に。スプロケの歯数が違ったりしていますが駅までの数キロなら変速調整が多少ガバガバでも変速しないで走ってくればなんとかなりそうです。
そしてもう一つラッキーだったのがT氏がパンクしたホイールが私の使っているホイールと同じ105のスプロケで歯数(11-28)だった事。この日ピナレロで行く予定だった私はLOOKについていたニュートロンをT氏に貸してあげる事に。そうと決まれば急いで車にニュートロンを突っ込んで出発!
結局始発からは遅れてしまいましたが三鷹を6時前には出れたのでまぁ良しとしましょう。気を取り直して目的地の乗鞍へ。
そして幸運な事に大した特に渋滞にハマる事もなく約3時間で現地に到着しました。ただ、予想していた通り松本から乗鞍への一般道は大型バスやトラック含む一般車が8時台でかなりの台数走っていたのとそんな交通量の中、路肩も無い狭く暗い古いトンネルがいくつも出てきました。車で通りながらT氏と「ここを走るくらいなら乗鞍なんていかなくていい」と話す程松本から乗鞍は過酷な下道がありますので輪行で行かれる方は十分に注意してください。
乗鞍観光センターへ到着~いざ乗鞍制覇へ~
さて何はともあれ9時に目的地へ到着。都内は連日40℃近い酷暑の週末で天気予報も良かったので避暑地のコチラは混むかなと思っていたのですが意外に混雑はしていない模様。途中バスなどで道が詰まったりもしましたがほとんどが上高地へ向かっていったので上高地の曲がり角からはストレスフリーで到着できました。
この時間ではメインのアスファルトの駐車場はほぼ満車だったので道を渡った場所の未舗装の駐車場へ車を止めます(こっちはガラガラ)
パパっと準備して走り出すと、すぐに目の前にこれから登頂する乗鞍の全貌が見えます。パット見「あんなとこまで本当に行けるのか?」という距離ですが、ここからでもわかる頂上付近の青空と絶好のコンディションに「早くあそこまで行きたい!」と自然に脚が回ります。
これは大勝利の予感…。
逸る気持ちを抑えながら気持ちの良い白樺林の木漏れ日の中を走ります。東京は40℃に迫る酷暑に対して乗鞍の登り始めは日向で30度いかないくらい、日向は暑いですがひとたび木陰に入ればクーラーのようなひんやりとした涼しい風が吹き抜けます。これはまさに理想に近い高原サイクリングではないでしょうか。
yaki「Tさん!これはいいぞ!今日はいいぞ!」
T氏「斜度も緩くていいね!」
我々が楽しく登っているのもそのはず、この序盤の斜度はかなり緩いです。ペースは遅くともヒルクライム4ヵ月ぶりのT氏が談笑しながら登っていける程なのでダウンの少ない裏ヤビツくらいだった気がします。
そんなまったりな道なのでT氏からも「これなら初心者向けだわ~」と余裕の言葉も出てきます。ちなみにこの辺はまだマイカー規制の手前ですがほとんど車が通りません。やっぱり今日は空いているみたいです。
三本滝レストハウス(スタートから約7km地点)
おしゃべりしながら緩々と登っているとあっという間に三本滝レストハウスという場所に到着。距離としてはまだ7km走ったか走ってないかくらいで1/3程度でしょうか。ここのゲートからがマイカー規制の区間となっており、ここまでも車は少な目でしたがここから先は原則タクシーと観光バス、自転車のみの世界となります。それではドリンクを補給したらゲートのおじさんに挨拶をして規制区間へ突入します。
※三角コーンの置かれているゲート(ここから先は自転車と許可車両のみの世界だ)
この辺りから少しづつ景色が開けてくるようになってきます。道自体は車が擦れ違えない程度の幅しかないところが多いので、たま~に来る大型バスは無理せず自転車から降りてやり過ごした方が良さそうです。
前を見ると乗鞍の頂上が少し近づいてきて「あそこまで行く」という事が現実的に思えてきます。
順調に進んで距離的にはそろそろ半分くらいでしょうか。しかしここにきてT氏に異変が。
T氏「yakiさん…!なんか斜度上がってない!?」
yaki「気付きましたか…。地味に上がってきてるね。」
T氏「キツイっ!」
yaki「まだあと10kmあるぞw」
T氏「無理無理無理www」
実は規制区間に入ってから、それまで5%くらいだった斜度が7~8%に上がっていたのです。”いたのです。”というか私はとっくに気付いていましたがT氏もやっぱり気付いていましたね(苦笑)
そしてあと10kmという距離を聞いてT氏を支えていたメンタルが崩壊
※躊躇なく足を着くT氏
三本滝からまだ数キロですが木陰を見つけて休憩します。
T氏「yakiさん、これあと10kmも続くの?」
yaki「う~ん…ここから700mくらい登る訳だからたぶんこれくらいの斜度は続くかと…」
T氏「まじかよ!?」
yaki「Tさん去年半原越登ったじゃん?」
T氏「うむ。」
yaki「例えるならあれを連続して今から登ると思ってもらえば…」
T氏「yakiさん!ここ全然初心者向けじゃない!」
休憩を終えて走り出すT氏ですがこの辺は結構斜度が上がっていて青色吐息。既に標高が2000mを越えていますので酸素の薄さとかも関係しているのでしょうか、なんか急激にT氏が弱りました。
yaki「Tさん大丈夫?」
T氏「・・・」
(´-`)oO(だめだな…。
T氏がダメそうなので再度休憩。ここは標高2000mオーバーの世界、無理して何かあってもいけませんのでキツかったら素直に休みましょう(*´ω`*)
yaki「無理に漕がなくていいから一番軽くしてゆっくり進んで行こう!」
T氏「もうインナーローですwww」
悲しげに入れられた最後のギア
yaki「まぁ、とにかく無理せず休み休みゆっくり行こうwww」
後が無いT氏ですがここからの眺めは最高です。
暫く休んだらT氏自ら再度サドルに跨ります。ちなみにこの日の乗鞍、我々以外にも自転車の人はたくさんいたのですが初心者さんも結構いた模様で、T氏のように休んでいる人や自転車を押して歩いている人もたくさんいました。そんな自分と似た境遇の人達を見て元気がでるのでしょうか。
「俺より辛そうな人がいる!(マジキチスマイル)」
と自分より弱き者を見てはペダルを漕ぐ力に変えているようです。これは心が折れそうな時に私もたまに使っている技ですが第三者から見るとゲス野郎以外の何ものでもありませんね(他人事)
しかし、大切な事は登るという事。多少心が汚くても目的を達する為には目を瞑る事もまた大切です。
位ヶ原山荘(スタートから約14.5km地点)
ゲスな心を持った我々への天罰でしょうか、なんか雲が出てきましたが雨が降るような気配はないので一安心。何度か休みながらも着々とペダルを回してようやく休憩できそうな山小屋に到着しました。
ここは標高2350mに位置する「位ヶ原山荘」と言う山小屋で宿泊もできるようです。ペットボトルの水を買って少し休ませてもらいます。
我々が飲み物を補給していると山小屋から道を挟んだ向こう側で何人かのローディが水を汲んでいます。近くに行って見ると綺麗な湧き水が出ていました。雪解け水でしょうか触ってみたら氷水のようにめちゃくちゃ冷たくて顔を洗ってみたら気持ちよかったです。
天然の北アルプスの天然水ですね(*´ω`*)
飲めるかどうかはわかりませんが、ボトルに入れたり普通に飲んでいる人もいたので自己責任という事で。
残す距離はあと5kmちょっと、いよいよクライマックスと言ったところでしょうか。周りの雰囲気も少しづつ変わってきて頂上がいよいよ近くに見えてきました。
乗鞍エコーラインの本気
気合を入れなおしてスタート!渋峠や美ヶ原ではとっくに森林限界の高度、2300mを越えているのに普通に木が生えてるんだなぁ~と不思議に思いますが、よく見ると大きな杉等が生えている訳ではなく少し背の低めの木が生えています。そんな事を思いながらじわじわと進んで行きます
開けた道へでるとどんどん頂上が近づいてきているのがよくわかります。
逆に下を見ると自分たちが車を止めて登ってきたと思われる道や街並みが遥か下に小さく見えます。
鹿嶺高原でも感じましたが一気に1000m以上登る時はこの一気に登ってる感を体感できるのがとても好きです。ほんの1時間くらい前まではあんなに下にいたんだなぁ…とぼんやり眺めて写真を撮ります。そして少し進むと…
!!!
雪です!
ついに残雪が残っているところまで来てしまいました。ここら辺まで来ると気温はかなり涼しくなってきて普通に登っている分には汗はかかない程度の快適な気温です。特にこの雪の近くは真夏に都心のコンビニの前を通った時に漏れてくる冷気の如く気持ちよさ!森林限界にも突入したようで一気に植物の背丈も低くなりました。
そして現れるT氏
T氏「もうダメかもしれない(消え入りそうな声)」
もはやあまり景色を見る余裕も残されていないT氏。HPが赤ゲージに突入していますが騙し騙しペダルと回してじわじわと進んで行きます。
さっきよりだいぶ近づいてきて上の方へ通る頂上へ通じる一本道もハッキリと見えるようになりました。目を凝らすと小さく自転車の人が登っているのも確認できます。
そしてここら辺は完璧に森林限界。背の低い低木や草花の間を雪解け水の小川が流れています。どこからともなく小鳥のさえずりも聞こえていて渋峠に近いイメージがあります。
そしてもう少し進んで行くと有名な雪渓「乗鞍大雪渓」が現れます。
ここは真夏にも関わらずたくさんの雪が残っていてなんとスキーをしている人がいます。モーグルの練習でしょうか、こぶを綺麗に滑り降りてはハイクして楽しそうに滑っています。というか自転車が沢山止まっているという事はこの人たちの何人かはスキー板担いで自転車でここまで来てモーグルの練習をしているという事のようです。
おじさんの趣味パワー恐るべし!
有料かどうかわかりませんがここにはトイレもあるのでスキー目的の人にとっては重宝されると思います。
少し遅れてやってきたT氏もこのスキーヤーには驚きます。少し休憩したらいよいよ頂上まではあと2kmもないはず。標高が未体験だったので少し心配していた高山病のような症状もないので気持ちの良い気温の中ペダルを回します。
ラスト2kmはまさに天空の道。右側に広がる絶景と空へ続く道を噛みしめながらゆっくりとゆっくりと登って行きます。
そして最後にグイっと左に道が曲がると遂に長かったヒルクライムに終わりがきます。
登頂から約20kmついに乗鞍登頂
登り始めから3時間経過で畳平到着!ここは岐阜と長野の県境!
よく乗鞍の写真で出てくる鶴ヶ池の景色も格別です。
標高2,700mってイメージではもっと荒廃した浄土平のような景色をイメージしていましたが、実際は小鳥がさえずり池の畔には色とりどりのお花畑という感じで天国感がすごいです。こんな感じの黄色、ピンク、紫、白、と色取りの小さな花が咲き乱れていました。
T氏「ついたーーーー!すげーーー!」
yaki「本当にすげーーー!」
yaki「何ここ天国じゃん」
荒々しくダイナミックな景色の中登ってきた頂上に急に開ける畳平のこのメルヘンな空間は本当に天国のようで、RPGの中に迷い込んだような世界感を味わえます。砂漠の中でオアシスを見つけた時はこんな感じなのでしょうか。気温もたぶん20度前後で例えるなら冷房の効いたコンビニの中くらいでしょうか。女性や寒がりの方には少し寒いかもしれませんが、暑がりの私には暑くもなく寒くもない正に適温で本当に気持ちよかったです(*´ω`*)
下界は40度に迫る災害クラスの猛暑日に車で3時間くらい走れば雪も残ってるこんなところにこれるのか…。と、気候の変化に驚きます。
標高が高いので雲が目線の高さで流れてきて一気に真っ白になったりもします。
そしてお約束の看板の前で記念撮影。
ここが自転車で来れる日本一標高の高い場所と思うと満足感と達成感に包まれます。T氏も「ここが自転車で来る日本一なのか!」と感動しています。
記念写真を撮ったら時間は丁度お昼頃、折角なので畳平でランチする事にしました。
標高2,702mでランチを食べよう
そうと決まれば何か魅力的な場所がないか探してみます。畳平は意外にもレストハウス?山小屋?のようなものが何軒かあるので選択の余地はあります。
なのでどこかいいところは…
!!!
yaki「T氏ここだ!ここにしよう!」
T氏「有名なの?」
yaki「知らん!初めて見た!」
T氏「知らんのかいwww」
yaki「いや、見て見ろよこのバブル感。」
yaki「きっとこの店バブル期からここにあるぞ!セリカに乗った若者が男女4~5人で泊りにきて万座ルートがどうのこうのでスキーする姿が目に浮かぶようだ(主演:三上博史)。」
T氏「何か聞いた事あるストーリーだな。ここ乗鞍だけど。」
yaki「サロットっていうメーカーがあってだな、田中邦衛が…ぶつぶつ」
T氏「わかったから。ここでいいからw」
という訳で全然バブル世代ではありませんが、本日のランチは私の琴線にビビッと触れた「銀嶺荘」に決定。宿泊もできるようです。
良い感じのメニュー版から私は味噌ラーメンのライスセットをチョイス。標高が高いのでお米には期待していませんでしたが(標高の高い場所では芯が残ってご飯が美味しく炊けない)なんか普通に美味しかったです。渋峠は芯の残ったぼそぼそしたご飯だったので何が違うのでしょう。銀嶺荘すごい。
お腹がいっぱいになったら銀嶺荘のお土産コーナーをうろうろ。実はここ、登頂証明書という物を購入する事ができます(1枚300円)折角だから記念に一枚いっとくか?とT氏と辺りを見回すと、
!?
なんだいこりゃあ!?
缶バッヂ!?今の時代に缶バッヂ!?しかもよく見て下さい。「乗鞍岳」と「乗鞍だけ」をかけています。誰が考えたのか知りませんがこんなの巷でいったら事故は免れないギャグです。いくらローディの財布の紐がぶっ壊れて穴が開いているからって甘く見ないでいただきたい!普段は絶対買いませんが、なんか乗鞍登頂で気分が高揚していたのと、気分はバブル期だったのでとりあえずコインを投入(え?)
まぁ、証明書は折りたたまないとダメでしたし紙よりはどっかに付けたりできるから記念になるかな?と考えた結果です。さるぼぼのバッヂほしい(手のひらクルー)
さるぼぼの登頂バッヂ欲しい!さるぼぼさるぼぼ!!!
うおりゃぁああああお願いします!!!!(手のひらギガドリルブレイク)
ガラガラガシャコン!
!!!
・・・
気合を入れておじさん二人で回したのですが、さるぼぼにはかすりもせずになんだかマジいらねぇのが出てしまいました(溜息)
というか冷静に考えるとさるぼぼのバッジ欲しいかと言われるとそんなに欲しくない事に気が付きます。あんなにワクワクした気持ちはなんだったのでしょう(賢者モード)
折角なのでプチ登山
気を取り直して畳平に来たらやってみたかった事、それが登山。
畳平からは何本か登山道がありますがどこからでもちょっと登っただけで畳平を見下ろす事ができます。何を隠そう今日はその為にSPD仕様のピナレロで来ました。そしてこれならクリートを気にせず岩山だろうがガツガツ登る事が可能なのです。
上からの景色を想像しながら登山開始!T氏はクリートカバーなので歩き辛そうですがゆっくりと登ってきています。
しばらく登ってから後ろを振り向くと下で見た時とは全然違う畳平の景色が広がっていました。遠く、奥に向かって伸びてるのはスカイラインでしょうか。そこだけ日が当たって何か神々しいものを感じます。
景色にテンションが上がり黙々と登って来ましたが「そういえばT氏は?」と思って振り向いてみると。
???
!!!
休んでるwww
ヘトヘトになってヒルクライムした後のこの高度での登山はやはりキツかったようで座って休んでいます。このまま一人で登っていっても待たせてしまうので「また次来たときでいいや。」と写真を撮ってT氏の元へ引き返します。
乗鞍ダウンヒル~スカイラインはまた今度~
yaki「Tさん!あの上からの景色はすごかったよ!」
T氏「もう無理」
yaki「本当は向こう側に下って登り返したい」
T氏「絶対無理!!ダメ!!!」
時間も時間ですしT氏の状態を見れば無理なのはわかっていたのでスカイラインはまたの楽しみにエコーラインを下っていきましょう。
さようなら乗鞍
登りも良かったですが下りは下りで見晴らしが最高です。下りは目線が下を向くので自然に絶景を見ながら走る事になり爽快感は登りのそれとは段違い。遥か下をバスが走っています。
そして登りでも見ましたが乗鞍の有名な景色の緑の中のくねくねの道。乗鞍を調べた事がある人は一度は見た事があるのではないでしょうか?紅葉の時期はここがとても綺麗になるようです。
登りでは何てことない場所も下りで通ると気持ちのいい道で思わず立ち止まって写真を撮ってしまいます。同じ道なのに登りと下りで全く見える景色も感じる事も違っていて不思議なものです。
そして下っていて改めて思うのがマイカー規制の素晴らしさです。基本的に車もバイクもいないので煽られたりする事がないのは当然ですが、それ以上にこの上から見た景色に車が写りこまない事が何より最高です。この綺麗な乗鞍の道も車が渋滞していたら台無しの景色になってしまいますし雪も排気ガスで汚れてしまう事でしょう。これは美ヶ原や渋峠では味わえない乗鞍の特権と言っていいと思います。
登りと違ってあっという間に景色が低くなっていき、涼しかった気温も上がり、生えてる木の背丈も高くなってきます。長いダウンヒルなのでところどころ休憩を入れて下っていきますが、凸凹していたり割れていたりするのでくれぐれもスピードは抑えて下りましょう。
そして無事、乗鞍観光せインターへ到着。途中で雲が多くなってしまいましたがところどころ晴れ間もあり天気には恵まれていた方だと思います。へとへとだったT氏も乗鞍の綺麗な景色と自転車行ける日本一高いところに行ったという達成感で嬉しそう何よりです。
この後は白骨温泉に寄って帰宅しましたが、白骨温泉は泉質も雰囲気もとてもよかったのと宿も多いのでここに宿泊しても良さそうでした。
まとめ
今回ついに乗鞍を登る事ができました。乗鞍は初心者向けかと言われると全くの初心者はダメだと思いますが都民の森や足柄峠などを登れた人なら大丈夫なレベルじゃないかなと思います。
個人的な感想としてはやはりマイカー規制は大きく車やバイクが来ないというのはこんなにも快適なんだと改めて気付かされました。大きな音がしないので鳥の鳴き声や風で葉っぱがかすれる音などよく聞こえ、まるで早朝の林道のような静けさの中ヒルクライムができます。
そして期待通りのダイナミックな景色と標高2700m越えの世界観。気温も快適で獲得標高1000m以上の長い長い登りを終えた後に広がる花畑と雪解け水の綺麗な池のある畳平は感動でした。
ちなみに2000mオーバーの渋峠、美ヶ原、乗鞍、と登ってきた私がよく聞かれる「どれが1番良かったですか?」という質問に答えるとしたら、どれも良くて甲乙つけ難いのですが自転車のライドでという前提で強いて順位を付けるしたら「渋峠>乗鞍>美ヶ原」となります。
理由は初めて登ったという思い入れもあるのでしょうが渋峠の六合の道の駅から草津温泉を抜けて街中から少しづつ人間の住むべきでない世界、森林限界と日本の国道最高地点へ向かっていくあの”スタート(六合)から村(草津)へ辿り着いてからの魔王の城(渋峠)へ”というRPGのような冒険感がなんとなく好きです。そして近くに野反湖もあって選択肢があるところにも惹かれます。
乗鞍は景色と雰囲気だけで言えばダントツ1位なのですがやはり少し遠いところと渋峠のようにいくつかの街や観光地を越えてという冒険感はなく「乗鞍」という1つの峠をひたすら登るという感じです。それはそれで気持ち良いので1人でサクッと登るなら乗鞍が好きですが友人と行くなら草津など地元の名物や文化にふれつつ日本一を目指すあの冒険感を楽しみたいところです。
美ヶ原もかなりの絶景なのですが雲の上の森林限界は自転車で走る場所というより大半が牧場の奥の歩く場所となります。また、私が行った時はですがこの中では1番交通量がありました。なので、「自転車のライドでいくなら」という前提をつけさせていただきましたがライドでなく車で行って歩く前提なら「乗鞍>美ヶ原>渋峠」となると思います。
と、無理やり私の好みで並べてみましたが正直どれもそれぞれ良いところがあるのでつまるところ「迷ったらその日1番天気の良さそうな場所にいく」というのが1番な気がします。
それぞれ森林限界の非日常的な雰囲気と高原の爽やかな景色を味わう事ができますし、都内からどれも数時間で行ける距離にはあります。連日の猛暑で危険と言われるほどの気温が日常化してしまっているこの夏、避暑地としてむしろ寒いくらいのライドも如何でしょうか。
コメント
コノウラギリモノメ。。。。
セントバーナードしんぱちさん
行ける時に行っとかないとと思いまして(*´∀`*)テヘペロ
しんぱちさん達とのライドも実現させましょう(^ω^)
絶景ですし良いですねぇ\(^o^)/
なんであまりそそらないのか自分でも不思議なおいらです(^^;
きっと勘違いに違いない!
ってことでまた行く時などありましたらご一緒させて下さい(^^ゞ
絶対おいら好きなはずなんですけどねぇ(笑)
コーラさん
コメントありがとうございます。美食倶楽部のみんなででいきたいですね。紅葉の乗鞍は綺麗な気がします(*´∀`*)